日本の伝統芸能の粋として、世界文化遺産に登録されている能。しかし難解で鑑賞しにくいともいわれています。能を易しく能楽師が解き、身近に親しんでいただくための講座です。解説を聞くだけではなく、能楽堂を見学したり、舞台で使用される面や装束に触れることもできます。
扮装の能面や装束、舞・謡などを通して、能の面白さを覗いていきます。
能公演の鑑賞会にも参加しますので、楽しんでご覧いただける講座です。
日本の伝統芸能の粋として、世界文化遺産に登録されている能。しかし難解で鑑賞しにくいともいわれています。能を易しく能楽師が解き、身近に親しんでいただくための講座です。解説を聞くだけではなく、能楽堂を見学したり、舞台で使用される面や装束に触れることもできます。
4月期は能「杜若」がテーマです。ちょうど時季にも合う、杜若の花の精霊が主人公。伊勢物語が下地になっている、舞も詞章も美しい名曲です。
扮装の能面や装束、舞・謡などを通して、能の面白さを覗いていきます。
能公演の鑑賞会にも参加しますので、楽しんでご覧いただける講座です。
杜若(かきつばた):
東国へと修行の旅にでた都方の僧が、三河国(今の愛知県東部)の八橋の沢辺に休み、咲匂う杜若の花に見とれていると、里の女が現れて声を掛けてくる。女は「伊勢物語」に書かれている八橋の杜若についての故事を語り出す。
からころも きつつなれにし つましあれば
はるばるきぬる たびをしぞおもふ
この歌は在原業平の詠んだ「かきつばた」の五文字を織り込んだ歌で、杜若は業平の形見の花なのだといい、僧に一夜の宿を貸しましょうと自分の庵室へと招き入れる。
やがて女はきらびやかな装束に身を包んだ姿で現れたので、僧が不審に思って問うと、この装束こそ、業平が思いをかけた高子の后の御衣で、杜若の歌に詠まれた「唐衣」、冠は業平が宮中での豊明の節会において五節の舞を舞ったときの「初冠」であると答え、じつは自分は杜若の精霊であると明かす。
花の精は、業平の歌の恵みによって草木までも成仏出来るのだと語り、また「伊勢物語」の業平のあまたの恋物語を優美に舞う。次第に夜が明けて空が白んでくると、精霊は成仏の姿となって消えていくのであった。
歌聖・在原業平を菩薩の仮現として賛美し、花の精と男装の麗人のイメージをも重ねて、優美な舞が展開される初夏の名曲です。