日本の伝統芸能の粋として、世界文化遺産に登録されている能。しかし難解で鑑賞しにくいともいわれています。能を易しく能楽師が解き、身近に親しんでいただくための講座です。解説を聞くだけではなく、能楽堂を見学したり、舞台で使用される面や装束に触れることもできます。
10月期は能「一角仙人(いっかくせんにん)」を取り上げます。美女の誘惑に負けて神通力を失う仙人・一角仙人。演出の工夫の変化が面白い童話的な作品です。歌舞伎の「鳴神」の原典にもなりました。
扮装の能面や装束、舞・謡などを通して、能の面白さを覗いていきます。
能公演の鑑賞会にも参加しますので、楽しんでご覧いただける講座です。
7月期テーマ曲:養老(ようろう)
雄略天皇の御代、美濃の国の滝から薬の水が湧き出たというので、勅使が遣わされる。勅使は泉を発見した親子に出会う。由来を聞くと、親孝行な若者が飲んだ滝の源水の水があまりにも爽やかだったので汲んで帰り、老いた父親にすすめたところ、見違えるように若々しく元気になった。そのことから滝にも養老の名がついたのだということである。老人は霊水を汲んで勅使に捧げて立ち去った。そのうち空から妙なる音楽が聞こえてくる中、山の神が出現し、爽快な神の舞を舞って泰平の世を祝福するのであった。清々しい夏の能です。